紅葉の涸沢カールをまさかの日帰り登山。標準コースタイム13時間、31kmの旅
2017/09/17
※今回のコース、普通は日帰りしない(1泊2日が推奨されます)ので安易にマネしないでくださいね。
ぽこ(@TripNotes_poco)です。
紅葉の名所、登山者の憧れ、涸沢カールに日帰りで行って来ました。
普通は日帰りしないところなので距離と時間がとても長くて疲れましたけど、美しい紅葉をみることができて大満足な旅でした。
ところで、カールってなんでしょう?
カール(Wikipediaより)
山地の斜面をまるでスプーンでえぐったような地形であり、高山の山稜直下などに見られる。氷河が成長と共に山肌を削り、上からみると半円状ないし馬蹄形状の谷となる。成長期には形状を推し量ることはできないが、氷河の後退と共に地上に現れ谷となる。U字谷やモレーンと並んで、見た目にわかりやすい氷河地形の一つである。
氷河の跡なんですね~。長野県の上高地から行けるカールは涸沢カール。紅葉が美しいと雑誌で見て、ぜひぜひ行ってみたい!ずっと考えていました。で、ある日、涸沢カールにある山小屋「涸沢ヒュッテ」のFacebookページを見ていたら紅葉が丁度よさそう!
ただ、紅葉の時期の涸沢は激込になるらしく、人に聞いた話や雑誌で読んだ話によると...
- テントが1000張以上になる(逆に言えばそれだけのスペースがあるということ)
- トイレが最大2~3時間待ち
- 山小屋も激込み。1枚の布団で3人以上になる。
- とりあえず部屋に入れても、全員が横になれないので交代で横になる(!!??)
- 横になれない人は壁沿いに体育座り(もちろん山小屋は正規料金、1泊2食9500円です。)
マジで...!?(見たことないので本当に本当なのかはわかりません。)
もちろん、いつもこんなことになるとは限りませんが(実際、先週末、9/26(土)はシルバーウィーク明けで天気予報も良くなかったので空いていたらしい。行けば良かった...。)。
混雑、恐ろしいです...。かといって平日に行くことも出来ないし...。それなら!日帰りするしかないよねーってことで、東京から上高地まで行って、まさかの日帰り登山(標準コースタイム13時間)に行ってきました。
コースについて
ルート | 上高地バスターミナル(05:43)→(05:49)河童橋→ (06:23)明神館→ (06:27)徳本口(徳本峠分岐)→ (07:03)徳澤園(07:06)→ (07:16)新村橋(パノラマ分岐)→ (07:50)横尾 (横尾山荘)(07:52)→ (08:34)本谷橋(08:35)→ (10:24)涸沢ヒュッテ(10:56)→ (11:09)涸沢小屋(11:38)→ (11:42)涸沢ヒュッテ(11:50)→ (12:44)屏風のコル(12:54)→ (13:12)屏風の耳(13:25)→ (13:40)屏風のコル(13:43)→ (14:44)中畠新道分岐(14:45)→ (15:19)新村橋(パノラマ分岐)→ (15:31)徳澤園(15:33)→ (16:11)徳本口(徳本峠分岐)(16:12)→ (16:16)明神館→ (16:55)河童橋(16:56)→ (17:00)上高地バスターミナル |
歩行距離 | 30.90km |
所要時間 | 山行 9時間31分(コースタイムの0.73) (標準コースタイム12時間59分) 休憩 1時間46分 合計 11時間17分 |
メンバー | 4人 |
参考にしたもの
「山と高原地図 槍ヶ岳・穂高岳 上高地」です。GPSデータはiPhone版の「山と高原地図」で取得しています。
登山口までの交通
前日、金曜日の夜に都内に集合。車で上高地の手前、沢渡(さわんど)大橋周辺の駐車場に向かいます。到着したのは01:30頃到着。車の中で仮眠します。ZZZzzz。上高地はマイカー規制があるため、乗用車で直接上高地に行くことはできず、手前の駐車場に車を止めることになります。
04:30頃から準備を始め、タクシー乗り場へ。なかなか捕まらないタクシーをやっとのことでつかまえ、タクシーで上高地バスターミナルに向かいます。タクシーは1台4200円の定額制なので人数が揃えばお得ですよ。
2015年10月3日 上高地バスターミナルから涸沢カール日帰り登山
上高地バスターミナル(05:43)
もっと早く到着する予定だったのに、時間はすでに6時近くに。バスターミナルも登山客でいっぱいです。登山道が混雑しそうだから、できる限りさくさくっと行きましょう。
河童橋(05:49)
バスターミナルから暫くほぼ平地なので早歩きでどんどん進んでいきますよ。すごーく人が少ない河童橋。昼間だったら観光客で一杯のはず。
今日のメンバーはテン泊さんとトレランくんとカメラさんとぽこです。テン泊さんのみ涸沢カールでテン泊して、残り3人は日帰りです。
明神岳の朝焼け~モルゲンロート~。綺麗!!みーんな写真を撮っています。
明神館(06:23)
徳沢園(07:03)
テント場は、現時点ではガラガラです。ほんっと良いロケーションだからここでテント泊したいなぁ。。
徳沢園のみちくさカフェ。ここで2人がソフトクリームを食べます。
上高地バスターミナルから徳沢まではシルバーウィークに歩いたのですが、徳沢から先は未体験ゾーン。楽しみだなぁっ♪
横尾(07:50)
ここでも大勢の登山者がいっぱい。
付近案内板には小さい付箋がたくさん張ってあって、どこでどんな事故があったかさっくり記入されています。
こんな感じで「7/29 男2名宙づり」とか。
横尾大橋
大きな吊り橋を渡ります。
上高地バスターミナルから横尾までは散策路、ここから先は登山エリアという扱いです。「午後2時以降は入山控えて」って記載があるけど、そんな遅い時間に入山しちゃう人がいるの...いるから書いてあるんでしょうけど。14時なんて普通に考えても遅すぎですよね。
横尾大橋を渡ると道が細くなり、登山道っぽくなってきました。
屏風岩
登山道から左側を見ると大きな岩壁、屏風岩が見えます。今年の7/29にクライミング中の人が宙づりになり、そのまま一晩経過。翌日救助されたって遭難事故があった岩です...よく一晩宙づりで頑張った...(産経ニュース)
本谷橋(08:34)
また橋が出てきます。岩場で休憩している人がたくさんいました。
すこーし紅葉した木が出てきましたよ。
日が登ってきて空は青空。これから見れるであろう光景にわくわくっ。
登山道を着々と登っていきます。
わー!景色が開けてきた!山が黄色いです。
赤と黄色と緑と青空。わぁぁぁぁみんなテンション上がってキャピキャピしだす。
写真を撮りまくりながら登って行きます。写真を撮らずにはいられないです。
涸沢カールはこの分岐から数分です。
こんな美しい紅葉の中を登っていくのです。
白い岩と紅葉と青空のバランスが美しいですね。
紅葉を楽しみながら歩いていると、、、着いた!涸沢カール!ここが氷河だったんだぁ!奥には雪渓が残っています。
このゴロゴロの岩場がテン場です。ここにテントを張るのです。大きな岩が避けられてそれなりに整地されている部分もあるけど、そういう良い場所は早く到着しないと無くなっちゃう。
テン泊さんは、慣れた手つきでさくっとテントを設営。いろんなテントがあって、見ているだけで楽しいなぁ。
涸沢ヒュッテ(10:24)
テン泊さんのテントを設営し終えて、「涸沢小屋のソフトクリームと涸沢ヒュッテのおでん、どっち先に食べに行くー?」という話になり、トレランくんが「混み始める前におでん食べましょう!」というので、涸沢ヒュッテへ移動。これが功を奏して、混雑前におでん5種(だったっけ?)(700円)を購入できました。ちゃんと小屋で作られたらしいおでんでおいし~~。大根がちょっと固め。この後すぐにおでん行列ができていました。
テン泊さんはビールとおでんのセット(1400円)を注文。ビールジョッキのマムートのロゴがかわいいね!!ぽこもビール飲みたいけど、酔っぱらって帰りに崖から落ちたら困るのでここは我慢っ。
涸沢ヒュッテから、こんな雄大な景色を見ながらおでんを食べるのです。向こうに見えるのは、涸沢小屋です。
おでんを食べ終えて、涸沢小屋に移動します。
涸沢小屋(11:09)
涸沢小屋から涸沢ヒュッテを望む。まだ、この時間ならテン場に余裕がありますね。
ソフトクリーム(500円)
ソフトクリームを外のテラス席で食べていると、テン泊さん「ぽこさん、あそこにトトロがいますよ!」 ぽこ「ん...?」(じーーっと目を凝らす。凝らしてみよう!)写真のど真ん中...。
「あっ!!トトロ!!!」(メイ風に)
完全に一致。何あの岩面白い~~!!わーい!!
パノラマコースで下山するよ。
時間は11:30。涸沢で1時間ほど休憩できたことになります。名残惜しいですが、1泊するテン泊さんを残して3人で下山することにします。テン泊さんが羨ましい!シュラフレンタルして、テン泊さんのテントにヤドカリ(テントに居候すること)したかったわぁ。
下山前に、テン泊さんが見た景色
さて、ここで、テン泊さんしか見れなかった光景をお楽しみください。
テントがいっぱいの涸沢カール。この日は600張になったそうです。
地上の星と言われている(?)夜の涸沢カール。色とりどりのテントの中でランタンを付けるとこんな感じになるんですね。綺麗だなぁ。本物を見てみたいなぁ~。
朝、モルゲンロート(朝焼け)。涸沢カールは日の出を見ることはできないのですが、朝日に照らされた穂高を見ることができます。(当日の様子。み~んな見上げてるよ!そしてすごく寒そう。)
...現実に戻りますよ。
まだ、時間は午前中。大勢の団体さんが登ってきます。
これからだっていうのに下山するわたしたち。でも、この先もまだまだ楽しい光景が待っている(はず)。下山はパノラマコースを使います。このパノラマコース、今年は9/18に開通したばかり。毎年10月下旬には看板や道中に設置されているロープを撤去するらしいので、歩ける(歩きやすい)時期は1ヶ月ぐらいしかないのかな?下山とは言ってもアップダウンが激しく、むしろ登りが多いとさえ感じる道のりが待っています。
「パノラマコースは起伏が激しく滑りやすい岩場が続き、事故が多発する難路です。岩稜登はん経験のある方の通行をお願いいたします。」
岩稜登はんの経験、、、ボルダリング(ジム)の経験でもよろしいでしょうか...。とりあえず行っちゃいますね。ひゅっひゅ~~。
パノラマコースから少し進むと見えてくる、涸沢カールの全体像。これが見たかったんだぁ!ほんと美しい光景。お天気も最高です。
あっ!尾根の向こうに見える、あれはもしかして、、、
おおっ!!槍ヶ岳!でも、小槍が見えないと槍ヶ岳っぽくないなぁ。やっぱり、常念山脈側から見る槍ヶ岳は美しいのだなぁと感じます。
パノラマコース入口に書いてあった通り、ちょっとした岩場もありまして。気を付けて歩きましょう。
槍ヶ岳がどんどん近くなってきました。
向こう側は常念山脈。あ、小屋が見えます。
拡大っ!先々週のシルバーウィークに泊まった蝶ヶ岳ヒュッテかな?!こっち側から先々週行ったあっち側を見るのってなんだか感慨深いです。
振り返ると小さくなった涸沢カール。テントが少し増えてきたようです。
拡大っ!テン泊さんのテントはこの辺りのはず。今頃、お昼寝してるかな~?
屏風のコル(12:54)
パノラマコースは歩いていてすごく楽しいです!(でも、怖いと感じる人もいるかも)アップダウンも適度にあって、地味に疲れますが。
パノラマコースの途中、ちょっと寄り道すると屏風ノ耳とか屏風ノ頭というポイントがあります。ぽこははじめ(コースタイム的に)行く気なかったんだけど、他の二人が「せっかくだから行こうよ~」。そして、通りすがりのおじさままで「絶景ですよ!行かないと損ですよ!」と仰るので行くことに。下の写真の上のとんがった白っぽいところです。屏風のコルに荷物を置いて、屏風の耳を目指して出発。
もくもくと登って行きます。
振り返ると、パノラマコースの稜線が綺麗に見えます。
屏風の耳(13:12)
他の二人に遅れて屏風の耳に到着!写真を撮っていただきました。
屏風の耳から屏風の頭にも行くことができるけど、なんだかよーわからんのでカット(行けばよかった)
屏風の耳から涸沢カールのテン場を撮影。だいぶテントが増えてきた。小屋からあんなに遠いところにテントを張ると、トイレとか遠くて不便そうだわ。やはり早い者勝ち。来年の予習ができました。
屏風のコル(13:40)
屏風のコルに戻ってきました。荷物を回収して、後は大体ひたすら下山、というか下りのはず。
下りは駆け下りるトレランくんの後をマネして付いていくと、一時的に速い人になれたような気がします。
一瞬どっちに行けばいいのか迷う分岐点。
新村橋(15:19)
屏風のコルから先はそうそう面白いところがあるわけでもないので、さくっと省略して、新村橋に到着。
吊り橋を渡って少し歩くと、
徳沢園(15:31)
徳沢園に到着しました。
上高地バスターミナルに向かって歩いていると、、、なんかいるっ!?
サルの親子。子ザルかわいいですね!!
どんどんやってきます。合計で20~30匹ぐらいとすれ違いました。みんなどこ行くの...?サルの集会でもあるの...?
明神館(16:16)
今日も、岩魚は食べられず。いつか岩魚定食を食べたい☆
上高地バスターミナル(17:00)
ようやく上高地バスターミナルに到着。初めて歩いたときには美しさに感激した上高地周辺ですが、3回目ともなると実はちょっと飽きてきてしまいました。
えぇぇぇぇ!人が全然いない!!こんな時間にバスターミナルに来るのは私たち(と数人)ぐらいのようです。
上高地バスターミナルから駐車場行きのバスは終わっていたので、行きと同じようにタクシーで駐車場に戻ります(4,200円)タクシーの運転手さんに「オススメの日帰り温泉はありますか?」と聞くと「竜島温泉がよいよー。駐車場からすぐだよー」とのことだったのでそちらに行くことに。
日帰り温泉
というわけで、竜島温泉にやってきました!駐車場から30分以上はかかったと思います(すぐ???)。
登山客はほとんどいなくて、地元の人で大人気の日帰り温泉でした(510円)。
それにしても、本当に今回はラッキーが重なったのです。「紅葉最盛期」「土曜日」「晴天」とか。
「紅葉最盛期だけど、悪天候で行けなかった」とか「行ったけど紅葉終わってた」とかアンラッキーは考えられるわけで、本当にラッキーでした。
そんな話をしていたら、トレランくんが「平日でも、天気のいい日にみんなで有給とって行っちゃえばいいじゃん」。なんと!その手があったか。じゃぁ来年はそれで。でも、テン泊もしたいなぁ~!
まとめ
- 距離は長く感じるけど、31km中22kmぐらいは上高地の(ほぼ)平地なので問題はありません。
- とはいえ、距離も標準コースタイムも長いので、自信がない人はマネしちゃだめです(普通は日帰りしないコースになっております)。
- さわやか信州号利用だと、時刻表的に難しいかもしれません。わざわざ車を出してくださったカメラさん、ありがとーっ。
- 健脚な人に囲まれたハイキングでした。
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