白峰三山縦走1泊2日(3/4) 西農鳥岳で滑落事故に遭遇!ヘリを呼んだよ。
2019/10/14
というわけで、衝撃的な出来事に遭遇したぽこ(@TripNotes_poco)です。
この記事は
の続きです。
2019年10月6日 白峰三山縦走1泊2日(3/4) 西農鳥岳で滑落事故に遭遇!ヘリを呼んだよ。
滑落したおじさまを発見
3名のパーティで南アルプスの白峰三山を縦走していたわたしたち。
農鳥小屋からひーこらぜーぜーしながら西農鳥岳に向かって登っていると、サクサク歩いて先行していたニコちゃんが急にザックを下ろして、登山道から下のザレてる場所に降りているのが見えました。
(何か落とし物でもしたのかな?)そう思って、「どうしたのー?ニコちゃん無理しないでー!」そう叫ぶも声は届かず。
慌てて降りていくニコちゃんの先に男性が倒れているのが見えました。
えっ?!まさか滑落?!
わたしの後ろを歩いていた、えりーちゃんも速攻でザックを下ろし救急キットを持って降りていきました。
すぐ近くの西農鳥岳山頂にいた男性2名も降りてきて1名が登山道から見守り、1名が滑落した男性のところに駆け寄ります。
滑落して止まった位置は、登山道から10m程下でしょうか。斜度は30〜40度。
あまり大勢が現場に行っても邪魔になるかと思い、わたしは登山道に留まることにしました。
現場に降りた男性がビニールかゴム製の手袋をつけて何か作業をしているのが見えます。
えりーちゃんがすごく大きい絆創膏を広げているのが見えます。後で分かったけど生理用ナプキンでした。それで傷口を手当てする模様です。
男性もニコちゃんもえりーちゃんもできることを必死にしていたのだと思います。
一通り手当てを受けた男性は立ち上がろうとしているのか、でも立ち上がれないみたいで移動できない様子。手当てをしている男性が薬を渡しているのが見えました。痛み止めかな。てか、手際のいいあの男性は何者なの?!
登山道に戻ってきたえりーちゃんが「ちょっとこれは厳しいかもしれないな...」と呟きます。
立ち上がれないということは、、、
救助を呼ぶ
「救助呼びますかー」そう叫んで聞くと、手当てしていた男性から「お願いしまーす!」と返ってきたので自分のスマホの電波が通じるか確認するも通じない!
あれまどうしましょう。
登山道に登り返してきたニコちゃんが、通りがかりの山岳ガイド証を付けて女性1名をガイドしている男性ガイドに「何か連絡できるもの持ってませんか?」と聞いたのですが、チラッとスマホを見るフリして「ないっすねー」と一言言って素通りして行きました。お客さんに何かあったらどうするんだろうね?(※ディスってます。)
登山道の下の現場から「71歳男性ー。右脛に5センチほどの傷があり骨が見えている状態ー!」と声が聞こえます。
丁度通りかかった3人パーティの女性たちも電波が入らないみたい。そうだ、もっと上に上がればわたしのスマートフォンが通じるかもしれない!そう思って稜線を駆け上がります。
すると電波が通じる箇所があったので、110に電話します。
「事故ですか?救急ですか?」電話の向こうで落ち着いた声が聞こえます。「事故です」。わたしも落ち着いていたと思います。
状況や現場の位置を一通り伝えようとするのですが、途中で電波が途切れてしまう。なんでー!
再び電波が繋がった途端に折り返し電話がかかってきたので出ると「すみません。電波が悪いようなので体の向きは変えないでください。」と言われたので、言われた通りにします。これは下手に動けないぞ。
更にもっと上に上がった方が電波が安定するかもと思い、すぐ近くの西農鳥岳山頂に駆け上がります。
さっきまでのひーこらぜーぜーはどこへ?
ちなみに電話は長野側の警察に繋がっていたようで山梨県警に転送されるとのこと。「転送しますのでしばらく黙っていてください」とのことで5分程してようやく山梨県警につながりました。
山梨県警の方と話をします。「右すねに5cm程の裂傷があり骨が見えている状態です。歩けないようです。命に別状はないようです。」「可能であれば名前と名前の漢字、住所、電話番号、職業、生年月日を聞いていただけますか?あと、どうして滑落したのか理由も。」「わかりました。」「通報されている方のお名前、住所、年齢を教えてください。」と言われたので一通りお伝えします。そんなにいろいろ聞かれるのですね。「せっかくの休日なのにいろいろとすみません。それではまた連絡しますので。」すごく気遣ってくださいました。
でも、滑落した理由って「今」必要なのかなぁ。。。辛い質問です。
登山道まで戻り、現場と登山道の連絡係をかって出てくださった男性に「いろいろ聞かないといけないことがあるのです。」と伝えて、確認事項を現場に大声で確認してもらいました。滑落の原因は「浮石を踏んだ」とのこと。そんなことって誰にでもあることです。
折り返し山梨県警に連絡しようと、再び西農鳥岳山頂に上がるとちょうど電話がかかってきました。
「確認事項は分かりましたか?」「はい。」一通り確認事項を伝え「あの、救助は来るんでしょうか?」と聞くと「今準備していますので」「どれぐらいかかりますか?」「1時間ほどですね」
うえーーー1時間!!そんなにかかるのか。そしてまた「ほんと休日なのにすみませんね。」と再び謝られました。
滑落した男性はエマージェンシーシート2枚に包まれています。でも、天候が良いとはいえ、風が吹いて寒い中を1時間も待つなんて!この時点で滑落から1時間以上経っていたと思います。
神が現れた
てか、わたしたち、今日下山しないといけないんだけどどうしよう。自分たちの心配もしないといけないけど、なにより滑落したおじさまが心配。手当してた男性は「自分はここで付き添うのでみなさんは行ってください」と仰います。でも、警察からの連絡はわたしのスマホに来るし、どうしよう?
現場付近を通りかかった登山者の男性が「今日はどこまで行かれるんですか?」と聞いてきたので「奈良田まで下山する予定です。」とえりーちゃんが答えると「自分、5泊の予定で余裕があるので連絡係とか引き継ぎますよ!」と言ってくださったー!5泊?!引き継いでくださる?
あなたは神か。
でも、どうしよう、おじさまも心配だし。
えりーちゃんが「おにいさんに甘えちゃおうよ。」「…そうだね。そうしよう。」
おにいさんと西農鳥岳の山頂に上がり、連絡先の引き継ぎをする件を山梨県警に伝えます。
そして、わたしたち3人パーティは農鳥岳に向かって進むことにしました。
後で気が付いたのだけど、引き継いでくださったおにいさんは、TJAR(トランス・ジャパン・アルプス・レース)出場者の高田全希選手でした。神。。。対応が神。。。TJARに出場できるぐらい精神力の強い人はきっと優しいのだなと感じました。
続く。
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